ご無沙汰しております。トボやんです。ようやく歩けて
ご飯が食べられるようになったので再開です。
ひょんなことから(入札額入れ間違い)から
それほどでもない、怪しいWAのSAAを仕入れてきました。
作動はOK、バレルにクラック有り。で写真で見る限り
バレル曲がってないですか?という状態でした。
まあ落して、来てみると…。
なんか、まあ予想通りというか垂れてますなあ。
だらりんこ~~~ 水から出されて弱ってきたウナギに
も見えますなあ。
どうも伸びたバレルの上半分がつじつまあわなくなって
割れてますなあ…。
と、アカン案件まるだしってますが、これに先立つこと5年前に
似たような案件をやってまして、同じようにいけるんちゃうかなあ~と
*これはロッケン開発/販売、後にCMC販売のプラSAA(シビリアン)
バレル内部が亜鉛と言わず鋼材といわず全部腐敗、変質して
膨張したあげく、バレルはクラックまみれ。
で、これをあーでもないこーでもないと直したのがこれ。
*おこさまの要請で1インチ伸ばしてフロンティア化
(ようするにオセロですわオセロのやつほしいゆうからフロンテア。)
*中の腐った具は捨ててしまったので鋼鉄板でインサートを
作って挿入後ガッチリとのり付けして外のバレルの破片を
貼り付けました。もう取れません。
で、まあこういう状態にできたのでWAのもイケるんではなかろうかと…。
(もちろん甘い見通し。これ実際にはスパーもFピンも腐って
無くなってたハンマーを直そうとタナカのハンマー買ってきて
地獄を見たり、合わないノッチをノッチ部だけ鉄化したり
それに伴ってトリガー自作で鉄化したり、ボルト調節の為に
ハンマーのイボを自作したり、別にそこまで好きでないのに
SAAの調節を全部学習させられたり。多分お受験のお祝いで
なかったら終わってなかっただろなあ。)
PS:この個体の修復記事は要請があれば、当時書いた
バレル内部構造図と共に公開いたします。
ここで一度おさらいすると上記ロッケン~CMCのSAAが
プラ製SAAの元祖で歴史的なブツでございます。
これは(ロッケンブランドとしては)リーズナブルな価格
でだったこともあり、熱狂的に売れたらしいのですが
金属モデルと比較して軽量にならざるをないABSモデルながら
少しでも重量を増すべく、(この時点でプラのSAAは
存在してないから、売る相手は金属SAAで遊んでる
人達かそういうものしか想定してない人達なわけで、
プラなんやから軽いのは当たり前だろ我慢しろや、
とは言えないという、極々当然な配慮。)基本亜鉛製の
内部構造物にギリギリのABS薄皮を付けることで
精いっぱいの重量化を行っており、その結果、
内部金属の腐敗/変質で膨張等が起こるとテキメンに
クラック、崩壊が起こり、上記のような
減少が起こっておりました。またこの通称「てんぷら」構造
は生産上の歩留まりも著しく悪く、(良品一個の生産に
数個の不良品がでたとか)アイテム人気にかかわらず
ロッケンブランドでは早々に販売を打ち切り、
引き継いで無理から生産/販売を担ったCMCも生産を中止し、
早々に売却された金型はWAへ行って大改修され、国際ルートで
再発売され、やがてWA自身の販売となって今回の
WA聖プラSAAとなります。
*これに派生して途中で生産販売を担った
CMCがロッケンモデルを参考にほぼ同一設計、別金型の
金属SAA(いわゆる3rdモデル)/プラSAAを新規に発売、さらに
このプラSAAがHWSに引き継がれ今に至るため、
ロッケン~WA国際~WA
ロッケン~CMC~HWS
と、結果これらのSAAはほぼ完全にパーツ互換性を
持つという…。(なので補修用にタナカのパーツはアウト)
と、ここでWA SAAに戻ってバレルの曲がりを説明すると、
このSAAはバレルの中が亜鉛インサートで
(多分鋼材もその中に入ってるはず)上半分埋まってる
という構造。シリンダー側はボアの中心側に
鉄板インサートがあるのでボアの上半分から出てきた
発火のガスやフラッシュがバレルの上半分のインサートで
遮られるという抜けにおいて厳しい構造、(せめてバレルの下半分に
インサートを設置してほしいと思うが、注型上なにかの
理由があるのでしょうか? (その場合後述の通り曲がりは逆になる)
*かようにバレルが上半分構造材で埋まってます。断面的に
埋まってないとこより埋まってる方が広いという…。
*フォーシングコーン側から、同様に凸断面のインサートが
見える。バレルの前方から後端までこの形のインサート入り。
前述の通り、ロッケン仕様のモデルは歩留まりの問題から
金型が回収され、構造が変更となったのですが、この時
バレル内部の構造も変更していて、
ロッケンではフレーム側の亜鉛構造材にバレル側のパイプ状の亜鉛構造材
(中心部分に4mm径の鋼鉄棒が組み込まれネジ留めされている)
を差し込んだ状態で外部のABSを注型して成形する形式で、
あくまで筒状の金属におよそ均一な厚みのプラ薄皮が付いているので
内部の構造材が膨張してひび割れることはあっても
特定方向に曲がるということはなかったのですが、
WA SAAでは(フレーム側から繋がっている)
パイプ状ではない構造材=インサートがABSバレルの
上半分に接触(というか埋没して一体化)した状態のため
この構造材が腐敗や変質、ほか温度などで膨張/伸張
すると、構造材と一体化しているバレルの上半分は
一緒に伸長し、つじつまが合わなくなればひび割れ、
構造材と関連しないバレルの下半分は同じ長さのまま、
その結果、上は伸びても下が伸びなければ当然、
バレルはだらりんと下に向くという…。
*ここで補足すると義兄弟で別金型のCMCプラSAA
では(おそらくHWSも)バレル部分の重量化を
捨ててABSで成形されたバレルに板インサートが
鋳込まれた単純な構造となっており、曲がりの
問題(ひび割れも)起こらないようだ。
*さらに派生的に話すとロッケンのあとに発売された国際聖
プラ製ブラックホーク系はこれ同様のテンプラ式で
バレルには鉄製パイプ+インサートが鋳込まれており
(流石に今ではコンセンサスを得られない構造と思う)
ロッケンSAAと同様の腐敗/変質ひび割れが生じるほか、
バレル以外のフレームほかプラ皮の剥がれや割れが生じる。
(中古で買うとだいたいバレル内部の鉄パイプがサビサビで
バレルひび割れ。)
…とまあ長々と前口上を書いてきましたが、(ここまで枕)
曲がってるのをどうしようかなと思って考えたんですが、
どうもインサートはロッケンみたいにフレームと分離できない、
(ロッケンのはバレルの皮をむいて中のパイプ状構造物が
フレームから引きぬけて、フレーム側にはきれいに中心を
通る穴があった。)どうもフレームの構造物と一体成型らしい、
なので、モノは試しお湯による可塑曲げ戻しをしてみようと…
中くらいの鍋でお湯を沸かして沸騰させ、バレルの根元あたりまで
5分ほど浸けて(他の部位を熱さないように)取り出し
さっと湯を吹いて、はまな板に押しつけつつ上向きに曲げ直し…
数回繰り返して、(先端はともかく)なんとかまっすぐに
なったかなと、子細に見て見ると…。
*先端はうつむいてますが、バレル自体の角度はそこそこ…
*レンズが曇ってて何やら幻想的ですが、あれ、クラック広がってない?
つうかもう先端が…
*もう曲がりがどうのとかでなくて、もう刻みいれた
ウインナーを焼いたみたいになってるやんか。
えっと、要するにテンプラ構造のモデルガンはお湯でゆがいただけで
ひびわれ、こわれ、こわれになるってことです。わはは。
(みんなアタシの屍を越えていけ!!)
PS:どうするか考えてたら知恵熱出ました。 やがて続く。
PS2:もちろん前述の国際プラ ブラックホーク系もゆがいては駄目です。
PS3:これの後に設計/販売されたWAワルサーPPK/Sはテンプラ式に
近い設計で、出来る限り金属製の主構造物に、別途生産された薄皮的な
(金属を鋳込む形で製造されるのではない)ABSパーツ組み付ける形式で、
強度と重量化をうまく両立させようとしたとみられるが、
結果、通常の分解を繰り返すと薄皮プラの際どい成形部分が
脆弱に砕けてしまうなど、本末転倒な事態になっていてプラ、モデルガン
の理想的な設計の難しさを考えさせられる。
この記事へのコメント
ホビー門口
「ピースメーカーは茹でてはいけない」と。こういうことを明確に学べるのがこのブログならではの点かと。確かに腐食で膨張した金属が内側からプラ割っているわけですから、熱で膨張させたらクラック悪化するわけですね………
トボー・いしやま
追従するかなと…(まったくしません)
あとね多分ですけど、真夏の車のダッシュボードとか
60度あたりまでいくとこに置いといても
割れそうな予感がします。